歴史リアルイラストの第一人者であり、戦国武将・三国志シミュレーションゲームで歴史ファンにもおなじみのイラストレーター、長野剛氏。「諸葛亮孔明」「関羽」「真田幸村」・・・。私たちが心に抱く名将・英傑たちのイメージは、長野氏の描く人物像によって定着したものも多いでしょう。
その長野氏の約1年ぶりとなる個展 「長野剛原画展2019」が、戦国の名将をメインテーマにした秋葉原(6月14〜16日)、三国志英傑をメインテーマにした新宿(7月26日〜28日)のふたつの会場で開催されます。
今回、戦国の名将をメインに展示する秋葉原会場を取材させていただきましたので、その様子をお伝えします!
全てが手描き!迫真の人物表現で英傑たちが蘇る
長野作品はCGを一切使用しない、油絵による徹底した「アナログ」の表現の力強さ、ドラマ性によって知られています。
長野氏が描くのはキャラクターではなく、あくまで史実に基づいた「肖像」。資料検証によるリアルな表現を心がけているため、歴史ファンのイメージを裏切ることがありません。
また、その大胆で繊細なタッチで描かれた原画の素晴らしさは、純粋なアートファン、さらには今までアートに関心がなかったゲームファンをも魅了し続けています。
迸る油彩へのこだわり。「リアル」の追求
「アナログとデジタル、どちらにも良さがある」と語る長野氏。しかし、長野氏が徹底的に貫くのは油彩、アナログ表現へのこだわりです。世界観を自在に表現できるというデジタルの良さを認めつつも、アナログでデジタルに負けないクオリティを追求し続け、制作時間も以前より延びているそう。
非常に緻密に描き込まれた原画から、そのストイックな姿勢の一端が伝わってくるように感じます。
武将画といえば、やはり武器と鎧のディテールは見逃せません。史実に基づいた表現を心がけている長野氏は、鎧に関してもあまり自分で創作しすぎないようにしているようで、読者やゲーマーが思い描くイメージを大切にしている姿勢が伝わってきます。ちなみに、資料に乏しい三国時代に関しては、後世の宋から唐、明代のデザインを参考にしているとのこと。
長野氏の描く豪傑たちは、その表情も魅力的。特に目は重要なようで、力のある表情の時には目力が強調されています。信長はその表情からも野心、そして器の大きさが伝わってきますね。
貴重なジクレー版画作品を展示
展示会場では、最先端の版画技術である「ジクレー版画」作品の展示販売も。
ジクレーとはフランス語で「スプレー」「吹き付け」の意味で、リトグラフやシルクスクリーン版画と違い、版を用いずに刷り上げるのが特徴。作者自身が監修をおこない、プリント工房と作り上げるジクレー版画は、作者独自の「色」と「タッチ」を再現するのに最適だと言われています。
甲冑の光沢や肌の肌理の細かさなど、微妙な凹凸感や質感に注目してみてください!
長野氏本人が降臨!「ライブペインティング」
また、長野氏本人が来場し、その場で織田信長や伊達政宗を描き上げる特別イベント「ライブペインティング」を実施。長野氏の迫力の筆使いをその場で目撃できる貴重な機会です。
筆者は拝見できませんでしたが、秋葉原会場では弓を番える織田信長が落ち着いた色味で渋く描かれ、大盛況のうちに終了したようです。新宿会場で描かれる伊達政宗にも期待感が高まりますね!
・秋葉原会場ライブペインティング(織田信長) 6/15(土)・16(日) 13:00~17:00(終了)
・新宿会場ライブペインティング(伊達政宗) 7/27(土)・28(日) 13:00~17:00(予定)
リアルでモダン、そしてドラマチック。長野氏の描く人物画はイラストレーションの域を超え、岐阜城に展示されたり、島津家に買い取られるなど、まさに「歴史画」として後世に残る作品となりつつあります。
秋葉原会場は終了しましたが、7月26日からは<三国志英傑>をメインテーマに新宿会場で開催されます。
生粋のゲームファンも、歴史ファンも、アートファンも。
それぞれに見所が満載の「長野剛展2019」に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
開催概要(新宿会場)
展覧会名 | 長野剛原画展2019 |
会 期 | 2019年7月26日(金)~28日(日) 11:00~19:00(最終日は17:00閉場) |
会場 | 新宿ヒルトピア アートスクエア 〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-6-2 ヒルトン東京B1F |
実施内容 | 三国志武将、文官を中心に、映画関連や女神作品の原画、 版画作品を約50点展示。イベントHPをご覧の上ご来場の方 全員に三国志英傑ポスタープレゼント! |
公式サイト | http://art-eventcollection.info/nagano/index.html |